2007年12月17日月曜日

それなのにわたしには何もくれなかった


カルヴィーノの「イタリア民話集」より


そしてそこで楽しく暮らした。

それなのにわたしには何もくれなかった。

(「魔女の首」)


こうしていつまでもふたりは仲よく暮らしたが、

わたしには何もくれなかった。

いや、ほんの一文だけ恵んでくれたが、

そんなものは穴のなかへ捨ててしまった。

(「林檎娘」)


こうしてふたりは楽しく暮らした、

いつまでも仲むつまじく、それなのに

わたしには何ひとつくれなかった。

(「プレッツェモリーナ」)
ハッピーエンドのお話にくっついてくる、言葉たち。
物語はわたしには何もくれないのだろうか?
望みに満ちた考えとは縁遠い俺の現在。