カルヴィーノの「イタリア民話集」より
そしてそこで楽しく暮らした。
それなのにわたしには何もくれなかった。
(「魔女の首」)
こうしていつまでもふたりは仲よく暮らしたが、
わたしには何もくれなかった。
いや、ほんの一文だけ恵んでくれたが、
そんなものは穴のなかへ捨ててしまった。
(「林檎娘」)
こうしてふたりは楽しく暮らした、
いつまでも仲むつまじく、それなのに
わたしには何ひとつくれなかった。
(「プレッツェモリーナ」)
ハッピーエンドのお話にくっついてくる、言葉たち。
物語はわたしには何もくれないのだろうか?
望みに満ちた考えとは縁遠い俺の現在。